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41歳でアートに目覚めた著者による読者を選ばないガイドブック 『東京23区 くつろぎの超個性派美術館・博物館』

2025年08月12日 12時00分更新

 あらためて説明するまでもなく東京23区は、国内外に誇る有名美術館から、個性豊かな専門博物館、さらには街なかのユニークな施設まで、“ミュージアム天国”ともいえる地域です。「かるび」(@karub_imalive)こと齋藤久嗣さんの著書『東京23区 くつろぎの超個性派美術館・博物館』は、そんな多彩なミュージアムの魅力を、著者自身の実体験とともにわかりやすく案内してくれるガイドブックです。

東京23区 くつろぎの超個性派美術館・博物館

東京23区 くつろぎの超個性派美術館・博物館

 著者は41歳で脱サラしてアートライターになるまではアートとは縁遠い生活を送っていたそうですが、ある日ふと立ち寄った美術館で静寂な空間のなか、絵を眺めることの“癒し”に気づきます。そこから美術館めぐりが週末の楽しみとなり、やがてライターとして独立、全国のミュージアムを訪ね歩くようになりました。

 本書は、そうした著者自身の原体験や等身大の視点をもとに、「日々忙しく過ごす大人世代」や「美術館は敷居が高いと感じている方」、さらには「家族や友人と気軽にアートや学びを楽しみたい方」にもおすすめしたい、“居心地の良い”美術館や博物館を厳選して紹介しています。著者自身がアート初心者から“美術館好き”になった経験をもとに、読者の立場に寄り添った言葉で、東京23区の個性派ミュージアムを案内してくれます。

 本書の目次を開くと、「建築、庭園が美しい くつろぎの美術館」「最先端の現代アートを体感」「東洋美術の真髄を味わう」「工芸・デザインを楽しむミュージアム」など、全8パートにわたるテーマ分類が特徴的。ジャンル横断型かつ体験重視の構成になっており、各施設の基本情報はもちろん、展示の見どころや建築の魅力、カフェやショップといった“くつろぎポイント”も丁寧に紹介されています。

 なかでも丸の内エリアでは、ぜひ訪れたい三つの美術館が紹介されています。

 まず外せないのが、三菱一号館美術館。

三菱一号館美術館

三菱一号館美術館

 明治期の赤レンガ建築を甦らせた優美な空間で、19世紀後半から20世紀前半の近代美術を主題とする企画展を年3回開催。緑あふれる中庭や「Café 1894」など、作品鑑賞の余韻をゆったり味わえる場所も充実。丸の内で働くビジネスパーソンにとっても、仕事帰りや休日の“リセット空間”として愛されています。

Café 1894

「Café 1894」も人気が高い

 そして、東京ステーションギャラリー。

JR東京駅丸の内北口

東京ステーションギャラリーが位置するJR東京駅丸の内北口

 東京駅丸の内駅舎の赤レンガのなか、鉄道の鼓動とともに息づくアートの発信地です。展示内容は絵画・デザイン・建築・写真と多彩。歴史あるレンガ壁や独特の螺旋階段、窓から見える駅改札口の景色など、ここでしか味わえない空間体験も魅力です。丸の内らしい“駅ナカアート”は、移動の合間に立ち寄ったり、旅の出発前にゆったりと過ごしたりするのにも最適です。

東京ステーションギャラリーの紹介ページ

『東京23区 くつろぎの超個性派美術館・博物館』内の東京ステーションギャラリーの紹介ページ

 さらに2022年、丸の内エリアに加わったのが静嘉堂文庫美術館。

静嘉堂文庫美術館ホワイエ

静嘉堂文庫美術館ホワイエ

 岩﨑家ゆかりの名宝を受け継ぐ美術館が、伝統と現代が交わる丸の内で新たな一歩を踏み出しました。国宝・重要文化財を含む東洋の書画、工芸、茶道具などを間近に味わえる上、静謐な展示空間は都心とは思えない落ち着きを感じさせます。特に、季節ごとに変わる企画展やワークショップも魅力で、アートと文化の“奥深さ”をじっくり堪能できます。

 本書では、こうした施設の基本情報だけでなく、展示の見どころや施設の雰囲気、カフェやミュージアムショップなど“くつろぎポイント”も豊富に紹介。実際に著者が訪れて感じた“居心地の良さ”や、美術館をより身近に楽しむヒントが随所に盛り込まれています。「忙しい毎日だからこそ、ひとときの“非日常”に身を置いて心身をリセットしてほしい」――そんな著者のメッセージが、やさしい語り口から伝わってきます。

 所蔵品を羅列するだけでなく、ジャンル・体験・地域性・専門性ごとに全8パートで美術館・博物館を分類。東京という都市の多層性と豊かさを体感できるラインナップは、まさに“ミュージアム天国”ならでは。著者自身が“ミュージアム初心者”から経験を重ねてきたことで、専門的な知識だけに偏らず、「誰でも楽しめる」導き方をしているのも魅力です。

 『東京23区 くつろぎの超個性派美術館・博物館』は、三菱一号館美術館、東京ステーションギャラリー、静嘉堂文庫美術館といった丸の内エリアの注目スポットはもちろん、代表的な大型館から体験型・サブカル系・ものづくり・写真美術館まで、あらゆる角度から東京のミュージアムの楽しみ方を教えてくれます。

 この本を片手に、丸の内から自分だけの“くつろぎ”と“お気に入り”を探すミュージアム旅に出かけてみてください。私自身も、丸の内エリアからほど近い、銀座エリアのアートめぐりのページで参加していますので、丸の内から銀座まで足を伸ばしてみるのもおすすめです。思いがけない発見や心地よい時間が、きっとあなたを待っています。

東京23区 くつろぎの超個性派美術館・博物館
著者:齋藤久嗣
出版社:大洋図書
価格:¥1,980(税込)
ISBN:978-4-8130-7634-6
https://taiyohgroup.jp/book/book-whole/guide/id005482/

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