福祉の現場には、「あなたの力を生かして誰かを支えることができる仕事」があります。知的障害者支援と高齢者の訪問介護に携わるお二人に仕事への思い、現場の様子をうかがいました。
野尻 淳江さん
NPO法人しらゆり 生活介護事業部主任 サービス管理責任者
知的障害者等が通う作業所で仕事の支援
――人と接する仕事がしたかった
前職は保育士です。結婚、出産を経て復職しようとしましたが、当時、子どもが小さい(0歳と1歳)のを理由に採用試験はすべて落ちました。そこで、人と接することができる仕事として、福祉が選択肢にあがり、「スキルがなくても、未経験でも、できる」ということで、無資格のまま飛び込みました。今の職場は、知的障害者の方が自立した生活を送るために必要な支援を行い、社会参加できる環境や働く場所を提供しています。余暇活動や行事の企画などもあり、仕事内容は多岐にわたります。
――セラピードッグも大切な仕事仲間
業界に入ってから、資格をとり始めました。福祉現場には国家資格ではないけれど、必要な資格がいろいろあります。以前から興味があったセラピードッグを施設に迎え入れるために、10年前にドッグトレーナーの資格を取りました。セラピードッグは、利用者の方の気持ちの揺らぎを敏感に感じとって、そっと足元に寄り添ったりします。ここ「しらゆり」では、18歳から87歳まで、さまざまな人が利用者の方を支援して働いていますが、働き方の形態も多種にわたっています。自分にあわせた仕事の形態を選べるのは、福祉の仕事のよいところだと思います。
――素のままの自分を出せる職場
飾ったり、見栄を張ったりすることなく、素のままの自分を出せる職場です。利用者の方からは「ノジリちゃん」のほか、「バタコさん」とも呼ばれます。朝の会で「さようなら」と言ってしまうなどの間違いも多く、いつもバタバタ走りまわっているイメージをもたれているようです。
――福祉の仕事に興味をもった方へ
変化がある毎日を楽しめる人、チャレンジ精神があり前向きに取り組むことができる人に向いていると思います。さまざまな障害のある方と向き合うので、悩んだり迷ったりすることもありますが、利用者の方の「できた」が増え、一緒に喜び合える瞬間は何事にも代えがたい達成感があります。
今井 紗綾さん
至誠ホームコミホーム ヘルプステーション管理者
訪問介護ヘルパー
――誰かの生活を支える仕事をしてみたい
中学生のとき、夏休みのボランティアで高齢者のデイサービスを訪れた際、職員の方々がとても生き生きと働いている姿が印象的でした。進路を考えるとき、「自分もああいうふうに誰かの生活を支える仕事をしてみたい」と思い、大学で福祉を学び、現場で働くことを目指しました。実際に働いてみると、大変なこともありますが、利用者の方やご家族から、直接「ありがとう」と言っていただける場面が多く、やりがいを感じます。感謝の言葉をその場で受け取れることは、福祉の現場ならではの醍醐味だと感じています。
――チームとして支えあう、働きやすい職場
今の職場では、30代から80代まで、幅広い年代の方が働いています。60代から訪問介護の仕事に就き、就業時間は少ないものの80代になっても頑張っている方もいます。ダブルワークの方、他の業種を経て福祉の仕事を始めた方など、多様な経験をもつ職員がいるからこそ視点が広がり、活発に意見が飛び交う職場になっています。この業界の魅力は、働く場所や働き方の選択肢が多いことです。私自身は新卒で現在の法人に就職し、その後、結婚・出産と生活スタイルが大きく変わりましたが、働き方を柔軟に調整していただけたので、正社員として働き続けることができています。
――学び続けられる環境
介護福祉士をはじめ、資格取得の機会が多く、学び続けられる環境があることも魅力です。特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護と経験してきましたが、そこで得た知識を現場のケアに生かせたときには成長を実感しました。障害のサービスを利用していた方が高齢になって高齢者サービスに移行するケースも増えているので、障害福祉の分野にも関心が高まっています。
――福祉の仕事に興味をもった方へ
生活を支えるケアは、目に見える成果が残りにくく、地味に見えるかもしれません。でも、利用者の方にとって「いつもどおりの一日」を過ごせることは何よりも尊いことであり、その日常を支える仕事には、数字では測れない大きな価値があると感じています。
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