意外な名物から興味を引く観光スポットまで、東日本にはまだ知られていない魅力がたくさん。実際につなぐ旅編集部が東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポート。今回は青森県青森市の旅の様子をお届けします!
青森名物といったらりんごにマグロ。温泉地ならではのグルメにも出会えるかも、とワクワクしながら浅虫温泉を歩きました。
(ねぶた編はこちらから)
マグロ1種とウニ1種の「ダブル丼」なのに、なんか多い!
私が青森で絶対食べたいと思っていたのが海鮮丼。有名な「大間のマグロ」が一番の目当てですが、残念ながら旬は秋から冬にかけてとのこと。でも、そんな美味しいマグロが採れる地域なら他の魚も美味しいに決まっています。ということで、海鮮丼が食べられる「鶴亀屋食堂」を尋ねました。
せっかくなので本マグロと生ウニが乗った「ダブル丼」を注文。しかし届いたどんぶりにはどう見てもマグロが2種類乗っていて「トリプル丼」になっています。店主の佐藤勇さんに尋ねると「赤身もトロも同じマグロのものだから、“ダブル”で合ってるぞ」と茶目っ気たっぷりの回答が。
このマグロがまたとんでもなく美味しくて、柔らかくてあっさりしていて肉厚で脂が乗っていて、これを食べるために浅虫温泉まで来る価値あり。ウニも無添加とのことで言わずもがな、くさみがなくトロトロで最高です。私が感動していると、佐藤さんが「回転寿司とは違うだろ」と笑いながら通り過ぎて行きました。
佐藤さんは「美味しいものを食べたいというお客さんの期待は裏切れない」という気持ちでマグロを1本買い。提供されるマグロは本マグロやビンチョウマグロ、キハダマグロなどその日によって異なります。
ちょうどお昼時ということもあって次から次へとお客さんが来店し、常に10組くらいのお客さんがいる人気店。地元の方から観光客らしき方、家族連れから一人客まで、客層はさまざまです。私が滞在している間は本マグロ丼やダブル丼を頼んでいる方が多いようでしたが、カレーやラーメンなどを頼んでいる方もいて、そちらも気になるところです。今度は大間のマグロを食べに行かなくちゃ!
鶴亀屋食堂
住所:青森県青森市浅虫蛍谷293−14
定休日:なし
HP:https://www.instagram.com/isamu_sato777/?hl=ja
アクセス:浅虫温泉駅から徒歩5分
カフェで青森の伝統工芸「こぎん刺し」に触れる
どんぶりを食べるほどおなかはすいていないな…という方におすすめしたいのがカフェ「浅虫コリドー」。今年でオープン4年目を迎えるお店で、スイーツやコーヒー、ランチなどが楽しめます。
ということで店名を冠した「コリドーパフェ」をオーダー。青森らしくりんごをはじめとしたフルーツや、浅虫温泉の地元スイーツである「板かりんとう」や「久慈良餅(くじらもち)」がトッピングされています。下にはコーヒーゼリーも隠されていて、超豪華!
店内では青森伝統工芸品「こぎん刺し」のオリジナルアイテムのなども販売しています。こぎん刺しとは、麻のの布と木綿の糸を使った刺繍のようなもの。青森県の津軽地方で発展し、津軽の厳しく長い冬を少しでも快適にやり過ごすため、保温と補強を兼ねて麻布に木綿の糸で刺し子を施すようになったといわれています。
「浅虫コリドー」のスタッフさんは全員こぎん刺しができるとのこと。スタッフの高谷麻奈美さんに少し見せていただきましたが、ひたすら布の目を数えて糸を通していくという細かい作業の連続で、こりゃ大変そう。小物ならまだしも羽織などに刺し子をするとなると、相当な時間がかかりそうです。冬は農作業がないとはいえ、洗濯機などもない時代ですし家事に時間をとられながらの刺し子はかなりしんどいものだったのではないかと想像できます。それとも逆にいい息抜きになったのかな。それに今でこそ木綿の布が主流ですが、当時は農民に使用が許されていた麻布が使われていたとのことなので、ザラザラ、シャリシャリとした肌触りの布を扱っていたのかと思うとなんだかせつない気持ちに…。
ギャラリーも併設していて、関野凖一郎の版画作品を見ることができます。関野凖一郎は青森市出身の版画家で、戦後、日本の現代版画が国際的に高い評価を得る一翼を担った方なんだそう。関野氏は宮沢賢治のファンだったそうで、私が訪れたときは宮沢賢治の作品をイメージした版画が展示されていました。
浅虫コリドー
住所:青森県青森市浅虫螢谷7
定休日:火曜
HP:https://asamusi-corridor.com/
アクセス:浅虫温泉駅から徒歩1分
温泉といったら絶対外せないのがビールでしょ!
個人的に「温泉」といったら欠かせないのがお酒です。ということで、クラフトビールを作っている「蛍火醸造」へと向かいました。
蛍火醸造は2023年オープン。なんと経営しているのは県内の花火会社なんだそう! なぜ花火会社がビール醸造を?とスタッフの後藤清治さんに尋ねると、「もともとオーナーがビール好きなんですよ。コロナ禍で花火大会が中止になるなどして時間ができた時に、クラフトビールの勉強をして、自分たちでも作ろうということになりました」と教えてくれました。
まずは後藤さんおすすめのIPA「千輪」をいただきます。グレープフルーツのような苦みをグッと感じたその一瞬後に柑橘の香りが感じられて、これ好き!
お店では常時6種類のビールを出していますが、2~3週間に1度くらいのペースでラインアップが変わります。
また店内のカウンターの奥が醸造所になっているとのことで、少し見せていただきました。
ビールはテイクアウトもOK。夕食後にいただこうと思い、私も「RUN&GUN」(現在は販売終了)というピルスナービールをテイクアウトして、ホテルでいただきました。すっきり爽快な飲み口で、お風呂上がりの乾いた体を潤してくれます。最高だ…。
蛍火醸造
住所:青森県浅虫蛍谷64−15
定休日:月曜
HP:https://www.keika-brewing.com/
アクセス:浅虫温泉駅から徒歩5分
浅虫名物「久慈良餅」「板かりんとう」食べ比べ
お土産を買うなら道の駅「ゆ~さ浅虫」がおすすめ。こちらでは青森市土産から浅虫温泉土産までなんでも取り揃えています。せっかくなら浅虫温泉ならではのものがいいなと思い、「久慈良餅」と「板かりんとう」を購入。「浅虫コリドー」のパフェにもトッピングされていて、気になっていたんですよね。
久慈良餅と板かりんとうは、2つのメーカーが作っているのだそう。ゆ~さ浅虫ではどちらのメーカーのものも取り扱っているとのことで、両方買って食べ比べることにしました。
ゆ~さ浅虫には日帰り温泉施設もあります。入浴料は大人360円! この近くに住んでいたら毎日通ってしまいそうな値段でうらやましい。温泉に入って、お土産屋さんでビールを買ってキュッとキメる日々、夢のようです。
自宅に戻ってからさっそく久慈良餅を食べ比べ。永井久慈良餅店のものはやわらかく少し塩気を感じます。水飴が使われているからか、舌触りはなめらか。一方で菊屋餅店のものはもち米っぽいざらっとした食感。小豆らしい甘さはこちらの方が強く感じます。見た目はどちらも似ていますし、中にクルミが入っているのも一緒ですが、食べ比べるとけっこう味が違って面白い。
板かりんとうは見た目の色がすでに違います。どちらにも共通しているのは、甘くはなくてかなり硬めな点。永井久慈良餅店の方はごま油のコクと香ばしさが特徴で、菊屋餅店の方が全体的に厚みがあり、あっさりとした味わいです。
道の駅 浅虫温泉ゆ~さ浅虫
住所:青森県青森市大字浅虫字螢谷341-19
定休日:なし(2月の平日2日間メンテナンスのため休業)
HP:http://www.yu-sa.jp/contents/
アクセス:浅虫温泉駅から徒歩1分
老舗と新店が共存する小さなリゾート
かつて「東北の熱海」「東北の奥座敷」と呼ばれた浅虫温泉ですが、今はしっぽりとした雰囲気。老舗のお店が並ぶ中、カフェやクラフトビール醸造所が新しい風を吹かせていました。温泉街の目の前が海なので、これからの季節は湯冷ましにふらりと散歩するのも楽しそうです。
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