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書と絵画のあいだを自由に行き来する― 筆のリズムを生かした婁正綱の独自スタイルに丸の内で出会う

2025年09月30日 12時00分更新

 丸の内のオフィス街に、静かで力強い筆致が響き渡ります。2025年9月30日(火)から三井住友銀行 東館1F「アース・ガーデン」にて、現代書画家・婁正綱(ろう せいこう)の世界を紹介する 「婁正綱展 ― AWATA COLLECTION ―」 が開催されます。本展は、三井住友フィナンシャルグループが展開するアートプロジェクト「SMBC ART HQ」の第3弾企画。実業家・粟田貴也氏(株式会社トリドールホールディングス 代表取締役社長 兼 CEO)が蒐集した“AWATA COLLECTION”から新作を含む約23点が展示され、抽象と書のあわいに揺らめく作品群が、丸の内の街に新たなアートの息吹をもたらします。

婁正綱(ろうせいこう / Lou Zhenggang)

婁正綱(ろうせいこう / Lou Zhenggang)

 「SMBC ART HQ」は、丸の内という都市空間を舞台に、アートを通じて文化的な交流や新たな発見をもたらすシリーズ企画です。第1弾ではミスミグループ創業者・田口弘氏のコレクション展、第2弾では株式会社大林組会長・大林剛郎氏による大林コレクション展を開催し、多彩なコレクションを通じてアートの奥深さを紹介してきました。今回の第3弾となる「婁正綱展 - AWATA COLLECTION -」では、現代書画家・婁正綱の抽象表現に光をあて、コレクターである粟田貴也氏が長年大切に蒐集してきた作品群を一堂に展観します。

書と絵画を行き来するアーティスト・婁正綱

 婁正綱は1966年に中国・黒竜江省に生まれ、幼い頃から書の才能を示しました。1986年に来日し、日本での活動を拠点にしながらニューヨーク滞在など国際的な経験を重ね、独自のスタイルを築きあげます。書と絵画の境界を自由に往還し、筆のリズムを生かした抽象表現を追求。近年は「Untitled」シリーズに代表されるアクリル絵画を精力的に制作し、東洋的な精神性と現代美術の自由さが交錯する作品を生み出してきました。観る人は、筆致の重なりや余白の呼吸の中に、詩のようなリズムと深い思索の痕跡を感じ取ることができます。

Lou Zhenggang
Untitled 2022

Lou Zhenggang
Untitled 2022
Medium: Acrylic on canvas
Size:194.0cm × 162.0cm

Lou Zhenggang
Untitled 2021

Lou Zhenggang
Untitled 2021
Medium: Acrylic on canvas
Size:162.0cm × 130.0cm

 展示されるのは、2018年以降に描かれた代表的な作品約23点。高さ10メートル、幅8.1メートルにおよぶ巨大作品も登場し、観客を圧倒するスケールで迎えます。こうした大作と向き合うとき、筆が空間全体に広がり、観る人自身が作品の一部になったかのような没入感を体験できるでしょう。一方で、130センチ角の比較的小型の作品には、筆の繊細な揺らぎや色彩の層が凝縮されており、作家の精神がきめ細やかに刻み込まれています。

Lou Zhenggang
Untitled 2018

Lou Zhenggang
Untitled 2018
Medium: Acrylic on canvas
Size:130.3cm × 130.3cm

婁正綱への評価

 この展覧会の背景には、コレクターである粟田貴也氏の強い思いがあります。飲食業界でグローバルに事業を展開する粟田氏は、2022年に婁正綱の作品と出会い、その力強さと精神性に魅了されました。「アートは言葉を超え、あるときは勇気を、あるときは慰めを与えてくれる」と語り、以来“AWATA COLLECTION”を形成。2024年には広尾にプライベートギャラリー「Gallery L」を開設し、コレクションを社会と共有する活動を進めています。本展はその延長線上にあるものであり、単なる展覧会ではなく、アートと人をつなぐ架け橋でもあるのです。

 さらに本展は、国際的なアート界のキーパーソンも企画に関わっています。世界的なオークショニアである Simon de Pury 氏は婁正綱の作品を「高度に洗練された抽象であり、自然の美への頌歌でもある」と高く評価。国内からは石橋財団アーティゾン美術館の新畑泰秀氏が企画に参加し、日本の文脈と国際的な視点を交差させる場を築いています。丸の内というグローバルビジネスの中心地で開催されることにも、大きな意味が込められているのです。

 会場の三井住友銀行 東館「アース・ガーデン」は、地下鉄大手町駅に直結し、仕事帰りや買い物の合間にも立ち寄りやすいロケーションです。入場は無料で、写真撮影やSNS投稿も可能(一部制限あり)。アートと都市生活が自然に交わるこの場所は、日常の延長にありながら、作品と静かに向き合う特別な時間を提供してくれます。

 丸の内に広がる抽象の詩を、この秋ぜひご自身の目で確かめてみてください。そこには、書と絵画のあいだを自由に行き来する婁正綱の挑戦と、それを支えるコレクターの情熱、そして都市がアートと出会う新しい風景が待っています。

婁正綱展 - AWATA COLLECTION

SMBC ART HQ Part3「婁正綱展 - AWATA COLLECTION」
会期:2025年9月30日(火)〜2025年10月25日(土)
会場:三井住友銀行東館1F アース・ガーデン
住所:東京都千代田区丸の内1-3-2
時間:平日 9:00〜18:00 土日祝 13:00〜18:00
観覧料:入場無料
URL:
【SMBC ART HQ Part3 婁正綱展 - AWATA COLLECTION -|公式サイト】
https://www.smfg.co.jp/company/art/0929.html
【Gallery L|公式サイト】
https://gallery-l.com
共催:三井住友フィナンシャルグループ、Gallery L / AWATA COLLECTION
協力:文化庁
企画:Simon de Pury、新畑泰秀(石橋財団アーティゾン美術館)、LZG Studio

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