エリアLOVEWalker総編集長・玉置泰紀の「チャレンジャー・インタビュー」番外編

日本を代表する東京国立博物館150年の歴史上初、国宝89点すべてを公開

 東京国立博物館(上野恩賜公園)の創立150年記念事業である注目の特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が2022年10月18日に始まった(12月11日まで)。明治5年(1872)の発足以来、日本でもっとも長い歴史をもつ博物館として、令和4年(2022)、創立150年を迎えた東京国立博物館は、筆者にとってもひときわ思い入れが強い博物館で、今の住居も自転車で行けるところを探して住んでいる。特に外からやってくる特別展よりも常設展の大ファンで、今回は、その粋が一堂に会す。

 この大きな節目を記念して開催される当展覧会は、150年の間に積み重ねられたおよそ12万件という膨大な所蔵品の中から、国宝89件すべてを含む名品を紹介する第一部と、 明治から令和にいたる150年の歩みを物語る関連資料を通して、東京国立博物館の全貌を紹介する第二部の2部構成になっており、重要文化財なども含めて、計150件が展示されている(国宝はすべては全期間展示されるわけではなく、期間中に展示替えが行なわれる)。所蔵する国宝89件すべてを公開するのは150年の同館の歴史上初。

国宝。『太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)』。
平安時代・10〜12世紀。渡邊誠一郎氏寄贈。日本刀成立期の刀工、三条宗近の代表作。天下五剣の一つで、最も美しいとされ、人気ゲーム・舞台・アニメの『刀剣乱舞』では第一部隊隊長。DMM GAMESの公式ページには、「平安貴族のような優雅さはあるものの、器が大きいといえば聞こえは良いが、究極のマイペース」と評されている。今回は360度、彼の美しさを見ることができる。

大好きな東京国立博物館の晴れ舞台に駆け付け、満面の笑みの筆者

日時指定の事前予約制で当日チケットの発売はないので注意

 第一部の「東京国立博物館の国宝」は、絵画、書跡、東洋絵画、東洋書跡、考古、漆工、刀剣の8つのコーナーからなり、中でも、最後の刀剣は、東京国立博物館が所蔵する国宝の刀剣全19件(日本最多)を、一つの展示室でまとめて展示。ここのみは、すべて全会期、展示替えなしで常にスタンバイ。見どころである刃文や地鉄じがねの美をじっくり鑑賞できるようデザインされた展示空間、名付けて「国宝刀剣の間」で日本刀の魅力に酔いしれることができる。

 また、第二部は名付けて「東京国立博物館の150年」。東京国立博物館の150 年を3期に分け、各時代の収蔵品や関連資料などから、その歩みを紹介する。150年前の湯島聖堂博覧会や帝室博物館時代の展示品による再現展示、かつて展示されていたキリン剥製標本の里帰りなどを通して、当時の人々の驚きや感動を追体験できるという趣向だ。令和の新収蔵品や戦後の復興期の名品収集などで集められた重要文化財などの作品も多く展示されている。

●筆者おすすめの国宝

長谷川等伯 『松林図屏風』
安土桃山時代・16世紀。紙本墨画。6曲1双。10月18日から10月30日まで展示。この屏風は豊臣秀吉が天下を統一した頃に描かれた。日本の湿った大気を感じさせる墨一色の松林は、日本の水墨画の最高峰ともいわれる。等伯は筆者の菩提寺、大阪・谷町の久本寺とも縁が深く、何度見ても、独特の荒々しくも寂しさを感じさせる空間に打たれる。

雪舟等楊 『秋冬山水図』
室町時代・15〜16世紀。紙本墨画。10月18日から11月13日まで展示。歴史の教科書や切手などにも使用される有名な山水図。タッチや構図は雪舟らしい作品。明治期にはなんと、『夏冬山水図』と呼ばれていたそうで、性格付けが難しい作品。

秦致貞 『聖徳太子絵伝』
平安時代・延久元年(1069年)。綾本着色。全期間展示。元は、法隆寺東院の絵殿内壁に嵌められていた障子絵。聖徳太子の生涯を絵画化した絵伝の現存最古・最大規模の作品で最高傑作と言われている。

本阿弥光悦 『舟橋蒔絵硯箱』
江戸時代・17世紀。木製・漆塗。10月18日から11月13日まで展示。源等の和歌を主題とした特異な形状の硯箱。いわゆる光悦蒔絵の代表作。金地の蓋表を横断する鉛板の存在感。文部省博物館が購入した初期の収蔵品。

扁平鈕式銅鐸
弥生時代・前2〜前1世紀。青銅製・鋳造。伝香川県出土。全期間展示。青銅式祭器で、ベルのように鳴らし豊穣を祈ったとされる。身の区画には、狩猟や脱穀、水田に集まる生き物が描かれている。

埴輪 挂甲の武人
古墳時代・6世紀。土製。群馬県太田市飯塚町出土。全期間展示。右手には刀、左手には弓。胴回りを守るのが挂甲。完全武装だ。バンク・オブ・アメリカの寄付を受けて、近年修理が完成した。

●第二部「東京国立博物館の150年」の注目展示品

湯島聖堂博覧会の様子を描いた『古今珎物集覧』と最も人気だった名古屋城金鯱の実物大レプリカ
東京国立博物館のスタートは、明治5年(1872)に旧湯島聖堂大成殿で開催された博覧会。その目的は、博覧会を通して日本の近代化を図ると共に、日本の文化力を国内外に発信、さらには急激な西欧化で危機的状況にあった文化財を守ることだった。博物館に加え、植物園、動物園、図書館の機能を備えた総合博物館を目指した。明治15年(1882)、この日本初の近代総合博物館は、上野公園の現在地へ拠点を移し、その活動を本格化させた。

キリン剝製標本
帝室博物館時代に天産(自然史)資料として展示されていた2頭のキリン剝製標本のうちの一体。明治40年(1907)にはじめて生きたまま日本にやってきたキリンの剝製である。オスで名前は「ファンジ」。上野動物園で人々の人気を集めた。現存する「ファンジ」の剝製標本(国立科学博物館蔵)が約100年ぶりに里帰りした。

●展覧会グッズ

●音声ガイドナビゲーター

 ナビゲーターは、俳優の吉沢亮。音声ガイドナレーターは、渡邊あゆみ(アナウンサー)。

●チケットについて(事前予約制。日時指定)

※東京国立博物館正門チケット売り場での販売は無い。

・本展は事前予約制(日時指定)。以下の人も「無料日時指定券」の予約が必要。来館の際、手持ちのチケットまたは会員証等に加え、「無料日時指定券」の準備が必要。
-中学生以下(未就学児を含む)
-無料観覧券を持っている人
-東京国立博物館賛助会員(シルバー会員をのぞく)、友の会の特別展観覧券を持っている人
・予約の時間枠ごとの日時指定。入替制ではないが、観覧環境保持のため、展示室や特設ショップを含め、特別展会場での滞在時間は90分以内を目安に観覧・利用を求めている。
・指定した時間枠であれば、いつでも本展会場に入場出来る。ただし、日時指定券ではあるが、入場および館内で待つ可能性がある。
・各時間枠の開始時刻直後は混雑が予想され、入場を待つ場合がある。開始時刻から多少遅れての来館がすすめられている。
・指定時間枠以外の入場はできない。
・営利目的でのチケットの転売は禁じられている。
・一人1回につき5枚まで、「日時指定券」の予約・購入が可能。

●展覧会概要

観覧料(税込)
 一般 2000円/大学生 1200円/高校生 900円
展覧会名
 東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」
会期
 10月18日~12月11日
会場
 東京国立博物館(東京都台東区上野公園13-9) 平成館
開館時間
 9時30分~17時
 ※金曜・土曜日は20時まで開館(総合文化展は17時閉館)
休館日
 月曜日
問合せ
 050-5541-8600(ハローダイヤル)

※会期中、一部作品の展示替えあり。
※本展は事前予約制(日時指定)。
※展示室内では「見返り美人図」、「金剛力士立像」以外は撮影できない。 なお、会場内の混雑状況により予告なく撮影を禁止する場合がある。
※展示作品、会期、展示期間、開館時間、休館日、観覧料等については、今後の諸事情により変更する場合がある。

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