2024年3月の「つかい方フォーラム」につながる、全5回のワークショップがスタート

50数名のワクワク満載!安城市で「アリーナのつかい方を考える」第1回つかい方ワークショップを開催

2023年11月02日 11時00分更新

文● 初野 正和
提供: 安城市

 B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「シーホース三河」の新しいホームアリーナ誕生に向けて、愛知県安城市ではさまざまな取り組みが行われている。10月14日(土)には、「第1回 つかい方ワークショップ~アリーナがまちに来る時を想像して、日々の暮らしをみんなで話そう!~」が安城市の東祥アリーナ安城で開催された。

老若男女が集まり大盛り上がり!今、安城市が面白い!

 安城市では、株式会社アイシンとシーホース三河株式会社による三河安城交流拠点(以降はアリーナと表記)の建設が計画されている。2026年10月に完成予定で、シーホース三河の新しい本拠地となる。ただ、バスケットボールの試合が行われるのは、1年間に30から40試合ほど。それでは、残りの300日以上をどのように活用していくのか。

 ワークショップは、このアリーナの活用法を市民参加型で考えてもらい、実際に市民が主体的になってアクションを起こしてもらおうとの思いからスタートしている。安城市に誕生するアリーナを「ジブンゴト」として、みんなでまちづくりを行っていくプロジェクトだ。

高校生も積極的に参加!安城市の未来は明るい!

 今回のワークショップには、募集人数を大きく上回る50数名が参加して実施された。ワークショップの第1回目ということで、まずはお互いを知って交流を深めてもらうことを目的に進行された。

 高校生同士や親子など、なるべく同じ属性の参加者でグルーピングされ、それぞれが交流を図っていた。笑い声はもちろん、バスケットボールで遊ぶ子どもたちの姿も見られ、会場内はとても温かい雰囲気に。連絡先を交換して友達のような関係になった方もいるだろう。それほど活気に満ちて、アリーナ誕生を控えたワクワクが伝わってくるワークショップだった。

50名以上が参加し、6つのグループに分かれて交流を図った

 せっかくなので、なぜワークショップに参加したのか参加者の方々に聞いた。とりわけ目立ったのが、「シーホース三河のファン」という方々と「子どものことを考えてまちづくりに参加したい」という方々だ。

 親子で参加していたヤマザキさんは、シーホース三河が大好きで、以前に開催されたワークショップにも参加していた。

 「(ワークショップについて)めちゃめちゃ携わりたかったですね。アリーナが自分の近所にできるので、これほどワクワクすることはないなと。こうした機会に関われることはそうそうないと思いますし、大きなチャンスだと思いました。(今後に期待することは)いろいろな場所にリングがあって、いつでもバスケを楽しめる環境ができるといいですね。誰でも参加できるユニバーサルな環境も整えられるといいなと思っています」

親子で参加していたヤマザキさん。バスケ愛が伝わってきた

 グループコーディネーターの村澤さん(後述)に誘われて参加したオオタさん。普段はアクセサリー作家として活動しているそう。「まちづくりに興味があったので参加しました。いろいろな価値観を持つ方の意見を聞くのは面白いですね。(今後に期待することは)家族でゆったりと過ごせる場所ができるといいなと思っています」

「小さな子どもがいるので、家族で過ごしやすい場所ができるといいですね」と話すオオタさん

 シーホース三河のファンであるオオミさん。「私自身、まだバスケのプレイヤーであり、バスケの指導者もやっています。アリーナについて興味があり、参加させてもらいました。幅広い世代の方々が参加していて、こうした機会は珍しく、とても有意義ですね。(今後に期待することは)指導者の立場から意見するなら、小さい頃からバスケと関われるような環境づくりをしてほしいですね。ミニバスは近隣の豊田市や刈谷市、岡崎市のほうが盛んな印象を受けています。シーホース三河さんに協力いただきつつ、バスケと交流できる機会を多く作ってほしいですし、将来的にプロを目指すような子を育てる環境も作ってほしいですね」

「バスケの指導者やプレイヤーとしての気持ちを伝えさせてもらいました」と話すオオミさん

 同じくシーホース三河のファンというキクチさん。「子どもがバスケをやっていて、シーホース三河が好きなので参加しました。同じ生活スタイルの方々と意見交換ができましたし、子どもがどんな意見を持っているのか発信する姿も見ることができて、とてもいい時間になりました。子どもの学びの場にもなったような気がします。(今後に期待することは)個人的な意見ですが、子どもが通う小学校の運動場が狭くて、運動会が開催できないんですよね。それを解決する場所ができたらと思っています」

シーホース三河のファンというキクチさん。「子どもたちの課題解決につながる場所ができたら」

 地元高校生の参加も多く、聞いてみると、みんな自主的に参加しているそう。安城生活福祉高等専修学校に通っているフジマキさんは、グループ内で積極的に意見を発信する姿が印象的だった。「生徒会の会長を務めていて、生徒会活動の一環で参加することにしました。参加するまでは堅苦しいイメージかなと思っていましたが、実際はみんな温かくて、会話が弾んでとても楽しいですね。(今後に期待することは)今は抽象的なアイデアばかりですが、こうした活動を通して具体的な提案をしていきたいですね。例えば、安城市はジャムが有名です。それを普及させるための企画とか」

周囲と積極的に交流を図っていたフジマキさん

 安城学園高等学校に通うウチダさん。「部活の顧問からワークショップを紹介されて、まちづくりに興味があったので参加しました。こうしたワークショップに参加するのは初めてで、自分の世界を広げたかったのも理由です。(参加してみて)知らない方と話すのが苦手で最初は緊張していましたが、同世代の参加者も多く、そうした方々と意見交換できてよかったです」

「ワークショップを通して視野を広げたかった」と話すウチダさん

 他にも参加した高校生からは、「安城市が主催する『高校生活躍応援プロジェクト』というものがあり、そのつながりもあって参加することにしました。(今後に期待することは)僕自身、中学時代は卓球部に所属していたので、卓球を楽しめる場所ができるといいなと思っています」とのこと。意欲的に学ぼうとする姿が印象的だった。

ワークショップでは多くの笑顔が見られた

ワクワクは身近にある。たくさんのヒントが見つかったワークショップ

 冒頭でも紹介したが、今回のワークショップは「アリーナがまちに来る時を想像して、日々の暮らしをみんなで話そう!」をテーマに行われた。具体的には、各グループで普段の生活の中の「ワクワクする瞬間」と「ホッとする瞬間」を考えてもらうというものだ。ワークショップを初めて行う参加者も多かったと思われるが、愛知学院大学の学生2名のデモンストレーションにより和んだ状態でスタートした。

愛知学院大学の学生2名が「ワクワクする瞬間」と「ホッとする瞬間」の例を発表

 デモンストレーションの後は、いよいよグループ内で意見を出し合う「グループワーク」だ。最初の10分間で各自が「ワクワクする瞬間」と「ホッとする瞬間」を考え、ワクワクをブルーの付箋、ホッとする瞬間をピンクの付箋に記入する。続く30分間では、グループ内で意見を共有していく。一人ずつ付箋に書いた内容を発表し、付箋を模造紙に貼っていくのだが、似ている意見の付箋がすでに貼られている場合は、その近くに付箋を貼るのがポイントだ。グループ内の全員が付箋を貼ったら、似ている意見をまとめてタイトルを付ける。

 あるグループでは、「ワクワクする瞬間」に、
・できそうな事ができた時
・マラソンスタートの時
・将来やりたい事を考えている時
・たのしそうな事がありそうな時
といった意見があつまり、ここには「何かを始める時」というタイトルを付けていた。

スライドも使い、作業内容を丁寧に紹介

ブルーの付箋に「ワクワクする瞬間」を記入

意見を模造紙に貼っていく

 こうしてグループ内で意見を出し合う「グループワーク」が終わったら、休憩を挟んで、各グループの代表者とグループコーディネーターが意見を発表し合う「全体グループ発表」だ。発表されたワクワクする瞬間の一例を紹介すると、「スポーツを観戦しているとき」「早起きしたとき」「飲み会をしたとき」「新しい企画を考えているとき」「ダンスをしているとき」「Instagramを見ているとき」など。対して、ホッとする瞬間は「家に帰ったとき」「好きな音楽を聴いているとき」「みんなでおいしいご飯を食べているとき」「ドラマを見ているとき」「親子で遊んでいるとき」など。

 学生たちのグループならエンタメコンテンツに関することが多く、親子のグループなら家族に関する回答が多かったように思う。グループごとにカラーが異なる点もユニークだった。そのほか、一部グループの発表を抜粋して、紹介しよう(原則として、付箋に書かれた内容をそのまま転記)。

グループ名:バスケ部~!

「ワクワクする瞬間」
友達:友達に会えるとき、友達とトークがはずんだとき、久しぶりにあった友達と遊んだとき、友達と遊ぶ時
目標:体重が減ってきた時!、目標 夢に向かって一歩進んでいるとき、今まではけなかったズボンがはけた時
「ホッとする瞬間」
食べ物:スイーツをたくさん食べたとき、お腹いっぱいになった時、好きな食べものを食べるとき
飲み物:あったかいここあをのみながらおちつくとき、コーヒーを飲んでいる、あったかい飲み物をのんだ時、カフェオレを座って飲めた時

グループ名:ナンバーエイト

「ワクワクする瞬間」
地元に関わる:徳川家康のおじいちゃんまで安城城にいたと知ったとき、アリーナ開所式はどうなるのかな?、どんなアリーナができるかな?、地元の話題がとり上げられた時
好きなこと:1人ドライブ車好き、きれいな女優を大画面で見た時、阪神優勝、ひだ牛食べる時、ペット(犬)と遊ぶ!
「ホッとする瞬間」
家族:みんなでおいしいご飯を食べた時、娘や息子の元気な顔を見た時、家に帰って犬が出てきた時、家族の笑顔、ペットの笑顔
リラックス系:あたたかい飲み物を飲んだ時、リラックス出来る場所に来た時、ビールを飲んだ瞬間、風呂につかっている時、入浴でゆっくり、アロマリラックス

グループ名:ティーンエイジャー

「ワクワクする瞬間」
イベント:学園祭、たんじょうび、ボランティア前、実習
友達:友達と遊びに行く、友達と遊ぶ前、友達とカラオケ、家族とどこか行く時
「ホッとする瞬間」
景色:頑張った後の夕日、満月を見る、何かを成功したとき、きれいな景色を見た時
休息:おふろ、布団の中
食べ物:おばあちゃんのいれたお茶、ご飯・お菓子を食べる時、美味しいと言われた時、コーヒーや紅茶を飲む、疲れた時に自分の好きな物を食べること

グループの代表者やグループコーディネーターが意見を発表

 「全体グループ発表」の内容をとりまとめたのが、ゲストとして招かれた愛知学院大学の内藤正和准教授。「今回、話し合ってもらったワクワクやホッとする瞬間に、アリーナ活用のヒントが隠されていると思います。大きなイベントを企画するのも方法かもしれませんが、もっと身近なところに楽しいことがあるかもしれません。どうやったらワクワクやホッとする瞬間が生まれるのか、そして、もしもアリーナが完成したらそれらを実現できるのではないか、それを今日のアイデアをもとにして考えてほしいですね」と、第1回グループワークの講評を述べた。

ワークショップの講評を述べた、愛知学院大学健康科学部健康科学科の内藤正和准教授

関係者も一致団結し、誰もが楽しめる雰囲気を作る

 当日、グループの交流をサポートしていたのが、名古屋産業大学の今永典秀さん、Café&delica NEJIの村澤有紀子さん、ママさんバンド フルーツキッズおよび寺子屋『Dear。。。』の渡邉裕子さん、株式会社夢花の代表を務める都筑拓さんの4人のグループコーディネーター。安城市を中心に活動し、地域のキーパーソンとも言える人たちだ。4人それぞれが参加者と積極的に交流を図り、誰もが楽しめる雰囲気を作っていた。

ワークショップの進行を支援するグループコーディネーターを担当した今永典秀さん、渡邉裕子さん、都筑拓さん、村澤有紀子さん(左から)

 また、愛知学院大学から6名の学生もサポートとして参加。そのほか、安城市職員や運営企業などの協力もあり、市民や行政、企業などが連携し、このワークショップは運営された。

 アリーナ計画を進めている株式会社アイシンの社員も参加していて、みんなが活発に交流する様子を目の当たりにした。「初めてお会いする方同士で、あれほど盛んに意見を交わしている姿に驚きました。設備ではなく空間を提供するのが私たちの仕事。できるだけ皆さまの情熱をカタチにしていきたいですね」(株式会社アイシンの佐藤さん、永谷さん)

 このワークショップは2024年2月まで全5回の開催を予定しており、最終的には「つかい方フォーラム」として、みんなでまとめたアイデアを3月頃に発表することになっている。今後のワークショップにも、4人のグループコーディネーターやPitchFMの勅使河原正直さんはもちろん、シーホース三河の佐古賢一シニアプロデューサーも参加予定だ。いよいよスタートしたワークショップ。ここからどんなアイデアが生まれて、どんなことが形として実現していくのか。今から楽しみで仕方がない。

運営をサポートした愛知学院大学の学生たち

ワークショップの最後にはグループごとに集められたワクワクやホッとする瞬間を紹介

子どもたちも積極的に参加。グループを代表してみんなの声を紹介していた

市民参加型のイベント「つかう.meet.FES」にも潜入!

 アリーナ計画およびそれに伴うワークショップだけではなく、安城市の盛り上がりは町のあちこちで感じることができる。10月7日(土)には「つかう.meet.FES ~GO!MIKAWA!」が三河安城駅前の矢総公園で開催された。地元企業や団体によるさまざまなブースが出店し、まちづくりに関するトークショーやシーホース三河の試合のパブリックビューイング、バスケクリニックなどが開催された。

大きな盛り上がりを見せたパブリックビューイング。大勢のバスケファンが駆けつけていた

 当日は天候にも恵まれ、矢総公園一帯は大賑わい。前述の通り「つかい方ワークショップ」でコーディネーターを務める渡邉裕子さんは、「つかう.meet.FES」運営の一人でもあり、「たくさんの方に遊びに来ていただいて、本当にありがとうございます。ここを使って何かを発信しようという方々に集まってもらって企画されているイベントです。このようなイベントはアリーナ完成後も継続してやっていきたいですね」と話す。

 有志が中心になって運営されている「つかう.meet.FES」は、まさにまちづくりにつながっているイベントといえる。冒頭のワークショップのテーマに通じる部分がたくさんあり、今後に向けたヒントも隠されているように感じた。アリーナ計画を通して、行政や企業、市民が手を取り合い、さまざまなアイデアで盛り上がっている安城市。今後も元気な安城市の姿をこれからもレポートしていくのでお楽しみに!

シーホース三河のチアチーム「Super Girls」も応援に駆けつけた

まちづくりのコンサルティングやプロデュースなどを全国で手がける田中元子さんを招いて開かれたトークショー

PitchFMの生放送も行われた。会場の熱気をラジオから発信

シーホース三河の佐古賢一シニアプロデューサーと、U18の高島一貴ヘッドコーチを招いて開かれたバスケクリニック

スラックラインやスケボー体験など、さまざまなブースが登場し、子どもたちも大満足

三河出身のロックバンド「K:ream」のライブも行われた

K:reamはシーホース三河に楽曲の提供も行っている

最後はみんなで盆踊りを楽しんで閉幕。安城市の温もりを感じたイベントだった

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