「アリーナのつかい方を考える」第3回つかい方ワークショップ開催

白熱の試合観戦に選手登場のサプライズも!? シーホース三河新アリーナ計画のワークショップに潜入

2023年12月25日 10時00分更新

文● 初野 正和
提供: 安城市

ワークショップ後に試合観戦。みんなでシーホース三河を応援!

 2026年にB.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「シーホース三河」の新しい本拠地(以降はアリーナと表記)が三河安城駅周辺に完成予定。このアリーナをどのように活用していくかみんなで考えていこうと、安城市や企業、市民の協力のもとワークショップが開催されている。

 このワークショップは継続的に行われていて、10月の第1回では、複数のグループに分かれて交流を図りながら、それぞれが感じるワクワクする瞬間とホッとする瞬間について話し合った。11月の第2回では、日常と非日常でのつかい方についてブレインストーミング。各自が自由にアイデアを出し合った。

 12月2日(土)の第3回ワークショップは、シーホース三河の現在のホームアリーナである「ウイングアリーナ刈谷」で開催され、43名の参加者が集結。第1回と第2回で出されたアイデアをもとに、試合やイベントがない日、「日常」でのアリーナのつかい方について「テーマ」を絞り込むことを目的に開催された。また今回のワークショップ後には、シーホース三河の公式試合観戦という楽しい企画が用意されていた。まずは、大いに盛り上がった試合観戦の様子から紹介していきたい。

初観戦に感激!この感動と興奮が安城市にやって来る!

 B.LEAGUEのレギュラーシーズンは毎年9~10月に開幕し、翌年5月頃まで行われている。この日のゲームはバイウィーク明け(2週間ほどの休養期間)で、さらに昨シーズンの王者、沖縄県沖縄市をホームタウンとする琉球ゴールデンキングスを迎えた試合とあって、いつも以上に大盛り上がり。晴天にも恵まれ、屋外はグルメフェスのような雰囲気で、アリーナ内も大勢の来場者で賑わっていた。

強豪チームとの大事な一戦ということもあり、アリーナは白熱した雰囲気に

 「試合を見るのは初めてです!すごい楽しいです!」「観戦している人たちの一体感もすごいですね!」と興奮気味に話すのは高校生のそうまさんとサナさん。高校生を中心に初観戦のメンバーが多く、今回の企画はいい刺激になったよう。

 だいぼーさんも昨年から観戦するようになったライト層。「昨シーズンは2試合くらい来ました。去年から観戦するようになったのですが、これまでよりも熱気がすごいですね!僕は野球が好きなんですけど、迫力や臨場感はバスケの試合のほうがすごいかもしれません」

初観戦を楽しむサナさん(左)とそうまさん(右)

「今日の熱気はすごい」と話すだいぼーさん

 よく観戦に訪れるメンバーも、今回の試合観戦について「素晴らしい試み」と好意的。「ワークショップで話し合うだけでなく、みんなでアリーナの雰囲気を味わえるのはいいですね。初めて観戦された方は、今後のアリーナのつかい方についてイメージも膨らむと思います」(きょうさん)

「シーホース三河を応援するようになって5~6年になると思います。(ワークショップについて)若い世代から豊かな発想やアイデアがどんどん出ているので、いいアリーナになっていくと思います。試合がないときでも気軽に行ける場所になってほしいですね」(としさん)

「みんなで試合観戦はいいですね」と話すきょうさん

B.LEAGUEがスタートしてから応援を続けているとしさん

 ファンの大応援もあり、シーホース三河は琉球ゴールデンキングスに93-73で快勝。この日の入場者数はほぼ満員となる3,176人を記録した。こんな魅力的なスポーツコンテンツが数年後、安城市にやって来る。しかも5,000人規模にパワーアップした新アリーナと共に。想像するだけで、今からワクワクせずにはいられない!

この第3回でテーマを絞り込み、考えたテーマをもとに、具体的にどんなつかい方がしたいのかを考える第4回につなげていく

 続いて試合観戦の前に行われたワークショップの様子を紹介していく。会場は、ウイングアリーナ刈谷2階の卓球場で行われた。第3回となる今回の「つかい方ワークショップ」の目的は、試合やイベントがない日、「日常」でのアリーナのつかい方の「テーマ」の絞り込み。

第3回目となるワークショップはウイングアリーナ刈谷で開催

冒頭で挨拶するシーホース三河の佐古賢一シニアプロデューサー

 第1回のワークショップで出た「ワクワクする瞬間」「ホッとする瞬間」をもとに決めるテーマを「テーマA」、そして第2回で出た「つかい方」をもとにするテーマを「テーマB」とし、それぞれグループで大切にしたいことを絞り込んでいくのが、今回の第3回の目的。年明けに実施する第4回以降で「テーマに対してどのようなコンテンツやサービスが求められているのか」と深掘りしていく。この第3回で例えば、テーマAに「子ども」、テーマBに「体を動かす」と出てきたら、第4回以降で「子ども×体を動かす」で「どのようなコンテンツやサービスが求められているのか」を深掘りする訳だ。

 グループのメンバーは、基本的に前回と同様。そのため意思疎通もしやすいようで、この日も活発に意見を交わす様子が見受けられた。名古屋産業大学の今永典秀さん、Café&delica NEJIの村澤有紀子さん、ママさんバンド フルーツキッズおよび寺子屋『Dear。。。』の渡邉裕子さん、株式会社夢花の代表を務める都筑拓さんの4人もグループコーディネーターとして、各グループの議論をサポートしていた。

 会場には、第1回ワークショップと第2回ワークショップで作り上げた、アイデアをまとめた模造紙を各グループに配置した。ワーク説明後のグループワークでは、その模造紙を見ながら、各グループで「テーマA」と「テーマB」をスケッチブックに書いていった。「●●をして欲しい」「〇〇を作って欲しい」という言い方ではなく、「○○がしたい」というように自分事としての言い方にまとめらてもらえる様に、書き込むボードを工夫し、グループコーディネーターにも協力してもらったそうで、確かに自分たちがやりたいことにつながるキーワードがテーマに集まったようだ。さっそくどんなテーマが出たのか紹介していこう。

グループごとにテーマを絞っていくメンバーたち

子どもたちも積極的に参加して考えを述べていた

グループみんなで決めたテーマをまとめていく

グループ名:バスケ部
テーマA「あう」
テーマB「いやし」

 子育て世代が集まったグループ・バスケ部。「あう」には会う・合う・meetなど、「いやし」には食べる・見る・観る・空間などの意味を持たせている。「誰かと会う場所として…」「誰かと観る場所として…」と、次回以降の深掘りもしやすいテーマに思えた。

「なかなか意見が一致しませんでしたが、それぞれ出たキーワードをつなげていくとこのテーマに辿り着きました」(アキさん)

グループを代表して発表するアキさん

グループ名:学生も入った中年グループ
テーマA/テーマB「1人で楽しむアリーナの日常」

 こちらは愛知学院大学に通う大学生と大人が混ざり、世代が異なるメンバーが集まったグループ。異なる世代だからこそテーマ決めに苦労していた様子も見られたが、結果として「1人で楽しむこと」に着目したところが面白い。

「あえてAもBも同じにしました。1人でいる人にターゲットを絞って考えれば成立するかなと思いました」(コジマさん)

代表して発表するコジマさん。「1人で楽しむ」という視点がユニークだった

グループ名:ハイスクール
テーマA「歴史と文化」
テーマB「健康とニュースポーツ」

 このグループは高校生と大人で構成され、「学生も入った中年グループ」と同様、世代が異なるグループ。しかし、コーディネーターのサポートもあって、有意義な議論ができていた様子。2つの要素を組み合わせる視点はなるほどと思えた。ピックルボールはテニスに近いラケットスポーツで、中高年でも楽しめる生涯スポーツとして普及し始めている。

「歴史を全面に打ち出すだけでなく、若者に人気の文化やグルメとコラボさせることでいろいろな方が楽しみやすくなると思っています。また、ピックルボールで発展していけるような町になったらいいなと思っています」(フジマキさん)

ハキハキとした発表が印象的だったフジマキさん

グループ名:ゲーマー
テーマA「eスポーツ」
テーマB「ストレス解消」

 こちらは高校生が中心のグループ。若い世代が持つ感覚を大切にして、これまでに出ていたアイデアをヒントにテーマを決めていった。コーディネーターのサポートも議論を盛り上げてくれた。

「僕たちのグループは学生が多いです。実際に自分たちがやりたいことをまとめたら、この2つのテーマになりました」(そうまさん)

「高校生の視点を大切にしてテーマを考えました」と話すそうまさん

グループ名:お酒大好き
テーマA「解放」
テーマB「親と子」

 子育て世代が多いグループで、自分たちが持っている悩みや不満からヒントを得てテーマを絞り込んでいったよう。このテーマなら幅広い世代に刺さるアイデアが生まれてきそうだ。

「このグループは子育て世代が中心で、みんな仕事や子育てで疲れている意見が多かったです。大人は愚痴をこぼせるような場所があれば、子どもたちはみんなで楽しめる場所があればとの考えからこのテーマにしました」(あきらさん)

グループを代表して発表するあきらさん

グループ名:忘れがちでゆかいな仲間たち
テーマA「IT」
テーマB「介護・医療」

 専門的な仕事に就いているメンバーに加え、大学生も混ざった特異なグループ。専門性を持っているからこそ、これまでもユニークなアイデアが次々と生まれていた。

「ITと介護のプロフェッショナルのメンバーの意見を尊重して入れました。どちらも外せない分野だと思ったからです」(カメさん)

なかなか決まらず「苦労した」と振り返るカメさん

グループ名:めちゃホース
テーマA「みんなで」
テーマB「スポーツを楽しむ」

 子育て世代が集まったグループで、バスケ好きも多数。決定したテーマにも思わず納得だ。今後はチームスポーツをキーワードにしたアイデアが生まれていきそう。

「仲間や友達などのキーワードがワクワクする瞬間に感じました。子どもたちもスポーツを楽しむことを求めています。安城市はスポーツを楽しむ場所が限られていると感じたので、ふらっと行けて楽しめる場所になればと思います」(だいぼーさん)

グループを代表して発表するだいぼーさん

まさかの飛び入りゲストも!? サプライズもあったワークショップ

 今回はサプライズ(?)で、試合前にも関わらずシーホース三河のライアン・リッチマン ヘッドコーチとダバンテ・ガードナー選手がワークショップに顔を出してくれた。リッチマンヘッドコーチは「いつも応援ありがとうございます。皆さんが応援していて誇りに思えるようなチームとなれるよう日々頑張っていますので、これからもシーホース三河をよろしくお願いします。」と感謝を述べて、これには参加者も大盛り上がり。ファンにとっては想定外のプレゼントとなった。

シーホース三河のライアン・リッチマンヘッドコーチ

シーホース三河のダバンテ・ガードナー選手

 各グループから出たテーマを見て、ゲストとして招かれた愛知学院大学の内藤正和准教授は「これからが勝負」と感想を述べる。

「テーマを聞く限り、今日の目標は達成できたと感じました。第1回や第2回のワークショップはたくさんアイデアを出すのが目的だったので、ある意味で簡単でした。これからは深掘りが必要ですし、さらに大変になってきます。テーマは抽象的なので、どのような方向に進むのか頭を悩ませると思います。今後に向けたポイントとしては『自分だったら参加するか』その視点を持って考えてほしいです。あとは『誰を対象にしているのか』です。対象によって内容は変わってきますから」(内藤正和准教授)

 今回のグループワークに参加した佐古賢一シニアプロデューサーも「私も勉強になります」と手応えを感じた様子。

「僕もそうですが、アリーナ誕生に対して実感がない部分があります。戸惑いもあると思うんですよ。でも、歴史と食を組み合わせたコンテンツなど、話し始めるといろいろなアイデアが出ていました。災害時にアリーナは拠点として利用できますし、そういうところに目をつけたアイデアもありました。何かと何かを掛け合わせたような視点は面白いですし、僕も勉強になります。(個人的な理想として)お酒を飲んで楽しめるフロアや子どもが遊べるフロアなど、いろいろな世代がフロア別に楽しめるアリーナになるといいですね。昼でも夜でも楽しめる空間ができたらと思います」

 いよいよワークショップも残すところあと2回。来年1月7日(日)と2月18日(日)のワークショップを経て、3月17日(日)に予定している「つかい方フォーラム」でまとまった意見として発表することとなっている。果たしてどんなアイデアが誕生するのか。アリーナ計画を通して、行政や企業、市民が一体となって盛り上がりを見せる安城市。次回のレポートもお楽しみに!

この記事をシェアしよう

エリアLOVE WALKERの最新情報を購読しよう

PAGE
TOP