2024年1月、安城市で第4回つかい方ワークショップ開催
シーホース三河の新アリーナ計画。みんなが考える「アリーナのつかい方」が見えてきた!
2024年01月31日 10時00分更新
ゴールまであとわずか!「アリーナのつかい方を考える」ワークショップ
2026年、愛知県の三河安城駅周辺にB.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「シーホース三河」の新しい本拠地(以降はアリーナと表記)が誕生する。約5000席の新アリーナは、新しい三河のシンボルとして地域の活性化を担う存在となるはず。そこでポイントとなるのが、アリーナ完成後の「つかい方」だ。B.LEAGUEのホームゲームが行われるのは1年のうち30日程度で、残りの330日以上をどのように活用していくべきか。安城市がシーホース三河と共催し、アリーナのつかい方を市民参加型で考えてもらい、実際に市民が主体的になってアクションを起こしてもらおうとの思いからスタートしたのが、このワークショップだ。
ワークショップは昨年(2023年)から継続的に開催されていて、10月に開かれた第1回では、参加者の顔合わせと共に、それぞれが感じるワクワクする瞬間とホッとする瞬間について話し合った。11月の第2回では、アリーナを日常と非日常に分けてつかい方についてブレインストーミング。第3回では、これまでに出たアイデアをもとに「一人で使える場所」「スポーツを軸に」など、グループごとに大まかなテーマを決定した。
2024年の年明け早々、1月7日(日)に行われた第4回は「アリーナのつかい方を考えよう!」がテーマ。前回に決めたテーマに基づいて、グループごとにアリーナのつかい方のアイデアを絞り込んでいく。今回と2月の第5回でアイデアを固め、3月に行われるフォーラムでグループごとに発表し、アリーナを「ジブンゴト」としてもらうのが、今回のプロジェクトのゴールとなる。果たしてどんなアイデアが発表されたのか、当日の様子と共に紹介したい。
山崎製パンからの差し入れも!
今回のワークショップでは、山崎製パン株式会社から協賛品として参加者全員にお菓子が配られた。担当者曰く「安城市内に工場を持つ企業として、何かしら力になりたい」とのこと。お菓子のおかげもあって、いつも以上に会話が弾んでいたように思う。
個人の意見をまとめ、いよいよグループごとのアイデアが鮮明に!
今回のワークショップには約30名が参加。参加者はグループに分かれて、まずは気分転換にアイスブレイクを行ったあと、前回決めたテーマをヒントに、それぞれが「アリーナだからこそできる日常の過ごし方」について「誰と」と「何を(するのか)」を用紙にまとめていった。
これまでと同様、名古屋産業大学の今永典秀さん、Café&delica NEJIの村澤有紀子さん、ママさんバンド フルーツキッズおよび寺子屋『Dear。。。』の渡邉裕子さん、株式会社夢花の代表を務める都筑拓さんの4人がグループコーディネーターとして、各グループをサポート。コーディネーターのアドバイスを聞きながら、アイデアを用紙に綴っていく参加者たち。
アリーナのつかい方・過ごし方を考えるためのヒントを提供するため、日本福祉大学の吉村輝彦教授がゲストとして登場。まちづくりや都市計画の研究を行う吉村教授。サードプレイスの重要性や、自身の実験を事例にした居心地のいい場所の作り方などを紹介してくれた。
肝心なのはここからで、個人のアイデアを「グループのアイデア」としてまとめる作業が必要になる。記入した用紙をグループで確認し合い、どれをグループの総意として発表するか相談する参加者たち。限られた時間内で、複数の意見をひとつにまとめるのは大変なこと。ただ、アイデアは違っても、共通しているのは「みんなのアリーナにしたい」という気持ち。さまざまな思いが重なり合い、グループごとのミーティングは徐々に熱気を帯びていった。
約1時間半のグループワークを終えて、いよいよ発表する段階に。各グループからどのようなアイデアが発表されたのか、順番に紹介していきたい。
グループ名:ハイスクール
誰と:一人でもいろいろな人でも
何を:体を動かして食事を楽しめる
グループを代表して発表してくれたのは高校生のフジマキさん。「一人で行ってもいろいろな人と出会うことができるストーリーを考えました。私たちのグループは運動と歴史、文化がテーマでした。特に、体を動かして食事を楽しみたいという意見が多かったので、スポーツと食事ができる場所を考えました」
具体的なスポーツとして、ピックルボールや卓球、バドミントンなどを挙げてくれた。ピックルボールはテニスのようなラケットスポーツで、生涯スポーツとして普及し始めている。食事については、地元の食材を使ったメニューを提案。特産品などを食べてもらいつつ、安城市の歴史や文化についても知ってもらうのが狙いだ。どれもイメージしやすく、実現可能なアイデアに思えた。
グループ名:ゲーマー
誰と:一人でもみんなでも
何を:あらゆるレンタル体験ができる
「楽器やスポーツを気軽に楽しむために、レンタルして体験できるサービスに注目しました。一人でも大勢でも利用できると思います」と代表のいおりさん。
楽器やスポーツ器具、ゲームソフトなど、さまざまなコンテンツが気軽にレンタルして楽しめるというもの。新商品の試食などもアイデアとして上がっていた。サブスクでのサービス提供など応用もできそう。グループコーディネーターを担当していた今永さんも「これはいける!」と絶賛していた。
グループ名:忘れがちでゆかいな仲間たち&学生も入った中年グループ
誰と:一人で
何を:Chat botを使ったアリーナリアル脱出ゲームなど
急遽、合同チームで話し合うことになったこちらのグループ。代表して発表してくれたのはたにさん。「ITと一人で過ごすことを組み合わせた内容になりました。ChatbotやARを使ったアリーナ規模でのリアル脱出ゲームなど、いろいろなアイデアが上がりました」
今回は合同チームというイレギュラーな部分もあり、アイデアをまとめるのに苦労した様子。「参加するメンバーによって結論は変わってくると思うのですが、ITと何かを結びつけた提案になると思います。ITと一人は親和性が高いと思いますし」とたにさん。このグループは専門的な知識を持つ参加者が多いのが強みなので、次回の結論に期待したい。
グループ名:お酒大好き
誰と:友達や家族
何を:あそび場やフリースペース
子育て世代が多いグループ『お酒大好き』。代表して発表するのはあきらさん。「うちのグループは子育て世代が多く、子どもを見守れるスペースがほしいという声が多かったです。小さい子ども向けに室内公園、中学生以上に向けてスケボーパーク、大人向けにキャンプができるスペースなどがあればいいですね」
大人と子どもがそれぞれ楽しめて、さらに大人は子育てを忘れてリラックスできるような安心・安全の空間。子育て世代らしいアイデアで、非常にニーズも高そう。こんなアリーナができれば、試合がない日でも家族でふらっと立ち寄りたくなる。
グループ名:めちゃホース
誰と:誰とでも
何を:スポーツでつながれる
バスケ好きのメンバーが集まる『めちゃホース』。だいぼーさんは「スポーツをキーワードに、誰でも気軽に遊びに行けてスポーツが楽しめる、スポーツでつながれる場所になればと思います」と話す。
具体的なアイデアとしては、実際にスポーツがやれる空間(体育館など)、パブリックビューイング用の大型ビジョンなどを提案してくれた。スポーツを「見る」でも「やる」でもできるつかい方の提案だ。ユニークなのが、アリーナ専用アプリ。アプリを通して知らない人同士がマッチングして共にスポーツを楽しむなど、ITの技術を応用できたらとのこと。予約などもアプリを通してできれば便利なはず。スポーツを通して新しいコミュニティも生まれていくかもしれない。
グループ名:バスケ部
誰と:家族と&一人で
何を:体を動かす、休むなど
「私たちのグループは『あう』と『いやし』がキーワードでした。体を動かすことで癒しも得られると思います」と発表するアキさん。具体的な内容としては、スポーツが楽しめる空間、個室タイプの休憩スペース、遊具の設置など。リラックスをキーワードにしたアイデアが多かったように思う。
グループ『バスケ部』は子育て世代が多く、今回は子どもたちの意見を尊重したとのこと。「子どもたちのアイデアを大人が少しだけコーディネートした感じです。もっと掘り下げたほうがいいかなと思いましたが、子どもたちの声を大切にしました。次回はもう少し具体的に絞るかもしれません」とアキさん。
発表の場を含めてあと2回!持続可能なアイデアに期待!
ワークショップを終えて何人かに話を聞くと、参加者の意識はアリーナ計画がすっかり「ジブンゴト」に変わっていると感じた。行政や企業に任せるのではなく、一緒に「みんなのアリーナ」を創造していこうとする気持ちが伝わってきた。
「世代によって意見は異なるので、まとめていくのは大変ですね。私たちはニュースポーツをして食事を楽しむつかい方を提案したのですが、みなさんのアイデアも素敵でした。一人でも行けて安らげる場所になるといいですね」(『ハイスクール』のタカさん)
「どのグループもいい意見だと思いました。用事がなくても立ち寄りたくなる場所が、みんなのアリーナかなと思っています。うちのグループはみんな考えが似ています。後は発表に向けて整理していきたいですね」(『お酒大好き』のあきらさん)
「具体的な意見はスムーズにまとまりました。子育て世代は考えが似ていると思います。子どもの成長にフォーカスするか、大人のリラックスにフォーカスするか、そこの違いですね」(『めちゃホース』のだいぼーさん)
「グループ内の一人がギターの練習について話してくれて、そこからレンタルの話が進んでいきました。一人でレンタルして楽しむものもあれば、複数名でやれることもあると思います」(『ゲーマー』のゆうりさん&いおりさん)
各グループのアイデア発表後、愛知学院大学の内藤正和准教授は講評で「持続可能性」をキーワードに挙げた。
「次回以降に考えてほしいのは持続可能性です。1回だけやって終わりではなく、アリーナは20年も30年も残っていく施設になります。私たちが20年も30年も求めているものは何か、もう一度考えてほしいと思います。そのためには何が必要なのか、どんな仕組みが必要なのか、そうした視点を持って取り組んでくれることを期待します。持続可能性が高まって20年30年と続いていけば、アリーナがみんなの『当たり前』になるはず。日常の中で自然と選択肢に入る場所になり、まちの誇りになっていると思います」(内藤正和准教授)
いよいよワークショップも残すところあと1回となった。2月18 日(日)のワークショップでアイデアの整理および発表の準備を行い、3月17日(日)の「つかい方フォーラム」で発表となる。どんなアイデアが誕生し、どんなことが形として実現していくのか。アリーナ計画を通して、行政や企業、市民が一帯となって盛り上がりを見せる安城市。次回のレポートもお楽しみに!
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